南都 十輪院 奈良市十輪院町27 TEL.0742-26-6635

こころの便り

教敬三寶 謹賀新年 「平成の30年」

平成31年1月1日

今年4月30日で平成の時代が終わろうとしています。昭和、明治、応永についで4番目に長い期間になります。皆様にとってどんな印象の時代だったでしょうか?
元年にはベルリンの壁が崩壊して南北の冷戦が終わるかと期待されたのもつかの間、3年には湾岸戦争が勃発し、不安定な国際情勢に逆戻りしました。13年のアメリカでの同時多発テロ事件以降、世界各地でテロ事件が起こっています。


国内では3年にバブルが崩壊したあと、失われた20年あるいは30年といわれて来ました。7年1月17日の阪神淡路大震災、同年3月のオウム真理教の地下鉄サリン事件、9年の山一証券経営破綻、23年3月11日の東北大震災など、大きな事件、事故には枚挙にいとまがありません。


宗教に関しても、大きな変化がありました。エンディングノート、家族葬、直葬、墓じまい、仏壇じまい、改葬、菩提寺離れ、寺院消滅、永代供養、自然葬、散骨等々は平成になってから使われ出した言葉です。


バブルの崩壊、世界規模の経済危機などで経済規模が縮小され、庶民の暮らしにも大きな影響を与えました。その頃から上記のような言葉がマスコミをにぎわすようになりました。しかし、経済的な理由からそのような言葉が使われ、人々の意識が変わってきただけではないように思います。


戦後世代の若者が家業を離れ、世の中サラリーマン社会になって都会に人口が集中しました。経済発展が人々を幸せにすると信じて。そこには宗教はさして必要ではありませんでした。その中心にいたのがいわゆる団塊の世代でした。その団塊の世代が親を看取る頃になり、宗教にあまり関心がないために、今までの習慣に不合理を感じ、しかも経済的な視野で宗教を捉えようとした結果が様々な新しい宗教用語を生み出し、先祖供養や信仰形態に変化をもたらしたと思います。


平成の次の世の中はどのように展開して行くのでしょうか?あと20年もすれば団塊の世代はほとんどあの世に行っています。残っていても社会に大きな影響を与えることはないでしょう。そのあと、宗教に対する向き合い方、寺院に対する必要性、寺院の人々に対する接し方が大きく変わっていくと予想しています。


十輪院 住職 橋本純信

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