南都 十輪院 奈良市十輪院町27 TEL.0742-26-6635

こころの便り

十輪院宝蔵(鎌倉時代・重要文化財)

平成30年7月1日

この宝蔵は明治15年に東京国立博物館に移築されました。明治時代初期の廃仏毀釈により、寺を離れたと言われています。第二次大戦中は岩手県に疎開したとの記録があります。


<特色>

方一間、宝形造、本瓦葺の小規模な校倉ですが、当山本堂と同じく鎌倉時代の形式を持っています。垂木を用いていないのも本堂、南門と同様の様式です。
宝蔵内壁には、釈迦三尊、梵天帝釈、四天王、般若十六善神等の彩色画が描かれています。また、床下四方柱間の腰には十六善神を各面四像ずつ線刻した板石がはめられています。建立時期は本堂、南門と同時期と考えられます。
創健当時、この宝蔵には当山開基とされる朝野宿祢魚養の手になる「大般若経六百巻が納められていました。境内池の西側に建てられていました。
しかし、戦国時代の兵乱で経巻がすべて流出し、また廃仏毀釈により宝蔵までもが寺を離れました。
今回、東京国立博物館で展示されました床下板石の線刻十六善神像の拓本は、明治時代に採られたもので、すべて表装されています。
各像は非常にはっきりと見て取れます。それぞれが表情豊かで躍動感もあり、見ていて引き付けられるものを感じます。この技法は本尊石仏龕に線刻されている仁王、四天王等とよく似ており、同時代のものと思われます。


十輪院 住職 橋本純信

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