最近のお葬式は家族葬が一般的になりました。少子高齢化が進み、経済的・身体的負担を軽減する上でも好まれる葬儀形態です。葬儀の簡素化はいいのですが、省略化にはいささか疑問を感じます。
最近の葬儀を見ていますと、初七日はするけれど、次は満中陰の法要しかしないといったケースが多く見受けられます。何のために初七日や満中陰の法要をするのか、二七日から六七日は省いてもいいのかどうかを理解している人は少ないように思います。
愛しい人が亡くなって悲しみに包まれるとき、どのようにして別れの辛さや悲しみを克服するのかが、おおきな問題となります。古来より行われてきた十三仏信仰はその辛さ、悲しみを乗り越えるために考え出され、室町時代頃から広く信仰されてきました。
しかし、そのような信仰を持たずに、人はどのようにして別れの辛さ、悲しみを癒しているのでしょうか? 身近にある十三仏信仰を見直してみるのもいいと思います。以下、簡単に説明しますが、初七日から七七日までは省略せずに勤めて欲しいものです。
初七日不動明王亡くなった人の執着心を断ち切る。
二七日釈迦如来仏の教えを説いて仏道に向かわせる。
三七日文殊菩薩仏の智慧を授ける。
四七日普賢菩薩仏の理性を授ける。<以上三尊は釈迦三尊>
五七日地蔵菩薩無尽の慈悲を授ける。
六七日弥勒菩薩将来、釈迦如来の代わりとして現れる。
七七日薬師如来医王仏とも称され、煩悩をなくす。(満中陰)
百か日観音菩薩阿弥陀如来とともに迎えに来て、浄土へと導く。
一周忌勢至菩薩こころに菩提心を起こさせる。
三回忌阿弥陀如来極楽往生の境地に導く。<以上三尊は弥陀三尊>
七回忌阿閦如来煩悩に負けない強い心を育てる。
十三回忌大日如来仏の中心世界へ導く。
三十三回忌虚空蔵菩薩故人が先祖となり、また菩薩となって無尽の福徳を与える。
十輪院 住職 橋本純信
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