南都 十輪院 奈良市十輪院町27 TEL.0742-26-6635

こころの便り

4つの A R I G A T O

平成23年1月1日

私たちは、進学、就職、結婚など人生のいろんな節目に、誰と出会うかによって、人生が大きく変わることがあります。自分の才能、長所を引き出してくれる人、あるいは自分の足を引っ張る人、いずれの人に出会うかは、運次第と言えるかもしれません。運も実力のうちという言葉があるように、運、不運は本人に責任があると思います。


では、どうすれば、よい出会いを引き寄せることができるのでしょうか? それはひとえに、意識の置き方によります。意識を「感謝」の一点に集中できるかどうかです。道徳的な意味での感謝ではなく、深い意識での感謝です。


感謝を表す言葉は「ARIGATO」です。この「ARIGATO」には4つの段階があります。


初級の「ARIGATO」
誰かに親切にしてもらったり、物を貰ったりした時に「ARIGATO」と発する人。これは、儀礼的な感謝の「ARIGATO」です。これはだれもが言えます。


中級の「ARIGATO」
儀礼的なものでなく、相手がどうあれ「ARIGATO」と腹の底から言える人。場合によっては、敵愾心や悪意を持っているかも知れない人に対しても、その人の存在に対して言える「ARIGATO」です。


上級の「ARIGATO」
人に向けるのではなく、自分が生きていること自体に感謝できる人。自分は愚かで、情けない存在だと思ったり、自分自分に自信をなくすようなことがあっても、生きていることに「ARIGATAINA」と思えることです。


最上級の「ARIGATO」
これは、災難にも「ARIGATO」と言える人です。江戸時代の禅僧、良寛の言葉に「災難に遭う時節には災難にあうがよく候、死ぬ時節には死ぬがよく候、これはこれ災難を逃れる妙法にて候」というのがあります。人生最大の障害は、社会でもなく、他人でもなく、自我意識です。


―町田宗鳳『法然を語る』参考―


十輪院 住職 橋本純信

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