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こころの便り
2016/06/05
愛犬「サラ(白藤姫号)」と「レンゲ(蓮華姫号)」の死

愛犬で、秋田犬のサラとレンゲが昨年と今年相次いで死にました。どちらも14才でした。母娘の間柄です。1才違いで、つまりサラが1才の時、6匹の赤ちゃんを産んで、唯一メスのレンゲが残りました。父親はやはり秋田犬でクラマ(輝悦号)といい、一時は親子3匹が仲良く暮らしていました。

父親クラマが8年前12才で死んだあと、母娘は犬猿の仲になってしまいました。不仲はエスカレートし、顔を合わさないようにして飼っていましたが、ある時喧嘩の仲裁に入った私の足をサラが噛んで3週間入院する羽目になりました。以来私の書斎でサラと同居することになりました。
1昨年の末、私が病気で4週間入院することになり、老犬になって死に瀕しているサラとはもう会えないと心に決めお別れを言って入院しました。かなり苦しんだようですが、私の退院の日に死にました。わずかな時間差で死に目には会えませんでしたが、私を待っていてくれたようです。私は号泣しました。妻は「私が死んでもそんなには泣かないでしょうね」というくらいの号泣でした。

それから1年経ち、唯一残ったレンゲも死にました。レンゲは私の書斎で生まれました。犬の赤ちゃんは風船のような袋に入ったまま出てきます。私が袋を破り、へその緒を結んで、胎盤を処理し、母親のサラに渡します。サラは6匹を平等に甲斐甲斐しく育てました。誰に教わることもなく、本能的に母親の役目を果たしました。その点は人間の母親よりも賢いです。そんな親子だったのについに母娘は顔を合わすことなく死にました。

結局三角関係になっていたみたいです。母娘で私の取り合いをしていました。私が母娘と一緒にいる時に限って喧嘩をしていました。何回も仲裁に入りましたが、最後はお互いに噛みついての大喧嘩でした。その時私の足が災難に会いました。

レンゲは体重が40㎏あったのが最後は19㎏になり歩くのがやっとの状態でした。やはり私の書斎で暮らしました。今まで10匹以上の犬を飼いましたが、私がお産で取り上げた犬なので特別な感情がありました。ある晩様子がおかしくなり、3時間私はレンゲの身体を撫ぜ、いろんな思い出と感謝の言葉を語りかけました。目は開いていますが反応は徐々に無くなっていきました。最期は大きな欠伸のようなことを3度繰り返して息が途絶えました。その時私は涙がほとんど出ませんでした。納得してレンゲの死を受け入れることができました。


十輪院 住職 橋本純信