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こころの便り
2015/05/08
眼(げん)

目は心の窓といわれるように様々な感情を表します。「眼」と書くと、視線をひと所にとめることを意味しています。目つきといっても良く、また物事を見極める能力をも表しています。仏教では「眼」について深く考察しています。

三眼とは、肉眼、天眼、慧眼をいいます。

肉眼とは、遮るものがない可視的物質のみを見る眼、すなわち我々の持つ眼球(まなこ)です。
天眼とは、遮られている可視的物質をも見ることができ、あるいは遥か遠くのものを見ることができます。アフリカなどの土着民などは遠くの獲物を探すことができますから、天眼を持っているといえるかも知れません。天眼通は、修行によって得られる超人間的な能力である六神通のひとつです。
慧眼とは、物質的、精神的なすべてのものを見通すことのできる眼です。

五眼とは、三眼に法眼と仏眼を加えます。

法眼とは、人を悟りに導く能力のある眼です。
仏眼とは、すべての真理を見極めることができる眼です。仏さまの眼ですが、仏さまは五眼すべてを有しているとされています。仏眼を神格化した像が仏眼仏母像です。頭上には般若(智慧)を象徴する獅子頭(ししがしら)を頂いています。京都高山寺の画像(国宝)がよく知られています。

奈良東大寺法華堂の不空絹索観音菩薩(国宝)には三つの眼があります。また金剛夜叉明王は五つの眼を持っています。京都東寺の像(国宝)が有名です。

私たちの眼は約180度の範囲のものを見ることができますが、努力すれば360度のものが見えるようになります。いわゆる慧眼を養うことです。それは相手の立場に立って物事を見る眼、人の気持ちが十分理解できる眼が慧眼にほかなりません。

十輪院 住職 橋本純信