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こころの便り
2014/11/27
和顔愛語(わげんあいご)

10月20日のテレビニュースで橋下徹大阪市長と桜井誠在特会(在日特権を許さない市民の会)会長との公開討論会を見て、その雰囲気と発言の異様さに驚いた人は少なからずいたと思います。テーマは「ヘイトスピーチ」でしたが、お互いに罵詈雑言の応酬でした。

ヘイトスピーチとは人種、民族、宗教、ジェンダーなどに対して偏見や憎悪に満ちた発言をいいますが、日本はこれまでこの問題に正面から取り組んで来ず、野放しにしてきた経緯があります。8月29日に国連の人種差別撤廃委員会から出された日本への勧告がそれを物語っています。

ヘイトスピーチ規制議論は、民主主義社会の基盤となる言論の自由の場に国が介入すべきかどうかという前提があるようですが、これは人権問題だと思います。

ヘイトスピーチとは、詰まるところ「悪口」にほかなりません。身体に受けた傷は治れば忘れてしまいますが、こころに受けた中傷、誹謗の傷は一生消えないことがあります。それだけでなく死に追いやることさえあります。しかし、民主主義社会では、外的損傷を与えると罪になりますが、心的損傷は罪になりにくい側面があります。

仏教では悪口(あっく)を強く戒めています。仏教徒の基本的な戒律として10ケ条がありますが、そのうち行為に関する戒律が3ケ条(殺生・盗み・邪淫)、心に関するものが3ケ条(貪欲心・憤怒心・邪心)ですが、言葉に関する戒律は4ケ条あります。すなわち、嘘・虚言・悪口・二枚舌です。

いかに言葉の使い方に重きを置いているかが分かります。更には積極的に「愛語」つまり優しい言葉を掛けるように勧めています。また「和顔愛語(わげんあいご)」という用語もあります。温和な表情で優しい言葉遣いをすることが良好な人間関係を築くことに繋がります。

世界中にこの用語が広がれば素晴らしい世の中になると思います。

十輪院 住職 橋本純信