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こころの便り
2014/01/01
敬礼三寶謹賀新年


十輪院蔵十三仏軸(室町時代)

正月には注連縄(しめなわ)を張り、門松を立て、お鏡餅を供えるのが習わしです。どういうわけか門松はほとんど見かけなくなりましたが、それぞれにはどんな意味があるのでしょうか?

 正月は年神様をお迎えする行事です。年神様は一年間、家を守り、豊饒を叶えてくださる大切な神様です。門松はその年神様が降りてくる依り代で、注連縄は年神様が鎮座する清浄な場所を示す境界に張ります。そこに年神棚を設け、お鏡餅をお供え物します。

 どこかで同じような行事をしていませんか?そう、お盆の行事を同じような祀り方です。線香の煙や盆提灯が依り代で、精霊棚を縄で結界し、季節の物をお供えします。お正月は遠い先祖、お盆は近い先祖をお迎えし供養する期間なのです。

「門松は冥途の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」という歌は「一休さん」の愛称で知られる、室町時代の禅僧一休宗純の作と言われています。門松を立てる毎に年を重ねて行くという意味だと思いますが、門松と冥途の対比は言い得て妙であります。

 冥途はほかに、あの世、冥土、冥界、冥府、他界、異界、黄泉(よみ)、常世(とこよ)、根の国、次の世、来世、後世、霊界、彼岸、天国、地獄、ニライカナイなどなどたくさんの言い方があります。それだけ我々には切っても切れない大切な場所なのです。

 しかし、「冥途はどんな世界?」と聞かれても具体的に説明できる人はどれだけいるでしょうか?誰もが必ず逝く世界ですから、知っておいて欲しいです。

「冥」は暗い、遠い、深いという意味があります。死後、私たちは真っ暗闇に放り出されます。めでたいお正月にめでたくない話をするのは気が引けるのですが、正月は遠い先祖をお迎えする行事ですから、お許しください。

暗闇の世界を過ぎ、三途の川を渡ると奪衣婆に裸にされ、閻魔王をはじめとする十王に地獄行きを命じられます。そこで、もがき苦しむ者を救ってくださるのが十三仏というほとけ様です。初七日から三十三回忌まで割り当てられ、罪深い私たちを教え導き、救ってくださるほとけ様です。

最後は仏界に赴くのですが、私たちの先祖は神様となって再び降臨し、氏神様や年神様として崇められるようになるのです。

平成26年元旦 十輪院 住職 橋本純信