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こころの便り
2012/07/11
お盆を迎えるにあたって


この時節になると、毎年のようにお盆に関することを書いていますが、毎年同じような質問をよく受けますので視点を変えて再び認(したため)めます。核家族化によって、お盆に関する情報はマスコミなどから得ることが多くなりましたが、それは必ずしも正しく伝えているとは限りません。

 

関東は7月の新盆、関西は8月の旧盆で行われます。いずれも13日から15日がお盆の期間と言われますが、正確には7日から15日の9日間がお盆の期間です。これは日本に限ってのことです。本来のお盆は15日の1日だけですが、ここではその説明は省略します。

 

7日頃になると、まず先祖の御霊を迎えに墓参をします。七夕は先祖迎えの行事です。ご先祖は私たちの大切な、目に見えない賓客です。賓客の家までお迎えに行くのが墓参りです。駅まで迎えに行くのが近くの辻までのお迎えとするなら、玄関で迎えるのは門口で線香をつけて家の中の祭壇に立てるという感じでしょう。いずれにしても、ご先祖さまは線香の香りに引きつられて懐かしい我が家に到着です。

 

お帰りになるまで、丁寧におもてなしをします。美味しい料理や果物をお供えし、詠歌などの音楽を聴いていただき、お茶は冷めたら新しく入れ替え、毎日違う献立をして喜んで頂けるようにします。夏ですからお供え物は傷みやすいので、常に新しい物を差し上げます。私たちが食べて美味しくないものはご先祖様にとっても美味しくありません。

 

早く帰って来て欲しかったんですよ、という気持ちを表すのに、キュウリで馬の形を作り、お帰りの時は寂しいですから、ゆっくりお帰りくださいという気持ちをナスで作った牛で表現します。充分喜んでくださったら、きっと私たちをあの世から見守ってくださるに違いない。これで来年までの1年間は家族が息災に暮らせるというのです。

 

いよいよ15日はお帰りの日です。玄関先でバイバイするか、駅まで送って行くか、ご自宅までお送りするか、人によって異なります。もちろん丁寧にするに越したことはありません。でも最近では15日ころの墓参はほとんど見かけません。

 

いや待って下さい、テレビでは15日の墓参りの映像をよく見ますと言われる方があります。確かにそのようなニュースを私もよく見ます。これは浄土真宗の方々の墓参の様子です。この宗派では、お盆にはご先祖は家に帰って来られないと解釈されています。ご挨拶のためにお墓に出掛けます。家ではお盆の行事をしないのが通例です。全国民が伝統的なお盆の風習を無くしてしまっては困ります。この類いのテレビの映像はその危険性があります。


十輪院 住職 橋本純信