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こころの便り
2011/05/29
神仏ってなんだろ

 梅雨の時節になりました。檀信徒の皆さまにおかれましては益々ご清祥の段お慶び申し上げます。

 

 しかし今年は未曽有の大災害が起こりました。亡くなった方々のご冥福をお祈りし、また被害を被られた人たちには速やかに援助が行き渡りますよう願っています。

 

 自然の力は実に大きい。それに比べて人間の能力の小ささは大海に漂う小舟のような存在です。波に逆らえず、少し大きな波が来たら「想定外」と言って慌てふためいています。

 

 古(いにしえ)より自然界を神仏と称し、畏敬の念を以て崇拝して来た概念は近代化社会から遠ざかっていましたが、最近あちこちでその存在を私たちに強く知らしめているような気がします。

 

 文明社会が発達し、経済指標によって人類の幸福度を追求するシステムはもはや限界にきていることは周知の事実です。

 

 G8、G20、APEC、ダボス会議など世界の主要な指導者が集まる会議はすべて経済を発展させて、自国の繁栄を追求しようとするのが目的です。しかし経済の発展が必ずしも人の幸福には繋がりません。解っていてもなかなかそこから抜け出すことが出来ずにいます。

 

 次々と大きな船を作り、大波・荒波を乗り越えようとしますが、所詮、克服することは不可能なのです。かえって犠牲者は多くなります。

 

 私たちの幸福とはいったい何なんでしょうか? どうすれば常に幸せを感じられるのでしょうか? たとえ不幸や悲しみを感じてもどうしたらそれを乗り越えることが出来るのでしょうか?

 

 たとえば、大波・荒波の時には、漂う流木のように身を委ねていれば、沈むことなく、いつかは穏やかな、優しい凪(なぎ)に出会うことになるでしょう。また不幸や悲しみのような辛い荒波もいつかは必ず心地よいさざ波に変わって行くでしょう。

 

 神仏とは常に私たちの周りにあり、試練を与え、行き過ぎを戒め、人間としての自覚を促し、そして優しさの中に私たちを包みこんでくれる存在なのです。

十輪院 住職 橋本純信