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こころの便り
2010/01/01
謹賀新年 敬禮三寶

「10年ひと昔」という言葉がありますが、最近では20年前のことなどは大昔のような感じが致します。関西セルラーの「マイクロタック」という小型の画期的な携帯電話が出たのがちょうど20年前でした。東芝が世界初のノートパソコン「ダイナブック」を発売したのもちょうどこの頃です。科学技術の進歩が目まぐるしく、私たちを取り巻く環境は随分変わりました。また戦後60数年、世の中様変わりしました。

 

しかし、人の心はどうでしょうか?どのくらい進歩したのでしょうか?良くなったと言えるところはどのくらいあるのでしょうか?仏教で説く十善戒はどのくらい実践されたのでしょうか?

 

不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語など、お釈迦様の時代から守るように言われてきた戒めが、返ってますます残忍で、規模が大きく、大胆でまた巧妙になって来ています。悪知恵ばかりが進歩しているのでしょうか。

そうであるなら実に嘆かわしいことで、人は何の為に人間生活を営んでいるのか分からなくなってしまいます。人間らしさを取り戻さなくてはなりません。

 

弘法大師空海は「般若心経秘鍵」という書物の中で、

『夫れ仏法遥かに非ず、心中にして即ち近し。真如(しんにょ)外(ほか)に非ず、身を捨てて何(いずく)んか求めん。迷悟我(われ)にあれば発心(ほっしん)すれば即ち到る。明暗(みょうあん)他(た)に非ざれば信修(しんじゅ)すれば忽ちに證す』

と述べています。

 

つまり、仏の教えというものはすでに私たちの心の中にあって、極めて身近なものです。真実そのものは我が身に存在しているのです。迷いや悟りもまた自身の中にありますから、発心さえすれば悟りの境地に到ります。それを信じて身を修すれば必ず理解できるでしょう、と言っています。

 

「分かっているけどやめられない」のが人間の性(さが)ですが、仏性をも持ち合わせているのですから、最大限それを発揮できるように頑張りたいものです。

十輪院 住職 橋本純信