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こころの便り
彼岸に想うこと
お盆が過ぎて1ヶ月あまりでもう彼岸の時節になります。境内はまたもや墓参で賑わいました。大変結構なことには違いありません。

人間はいつかは土に帰ります。それ故、洋の東西を問わず、墓を必要とします。個人の墓であるか、家族のための墓であるか、その形態はさまざまです。

日本人は古来より死後の世界を想像し祖先の霊を慰めることが生活の中で大きなウェイトを占めていました。

仏教が正式に伝来された当初の目的は鎮護国家のためでありましたが、時代が下り、民衆に広く仏教が流布されるようになって、それは死後の世界観をより具体的なものに仕上げていきました。

仏教は鎮護国家、祖先崇拝も説いていますが、本来の目的は人間の精神的向上にあります。いかにして自分の人生を大切にし、充実した一生を送るか、いかにして他人をも幸せにできるか、あるいは、いかにして平和な世の中を築き上げることができるか、それらの課題の指針となるのが仏教のおしえの中心なのでしょう。

墓前であるいは仏壇の前でお経を唱える、葬儀を僧に司ってもらうことだけで仏教が事足りるということでは、枝葉末節、主客顛倒であります。

日本の今の仏教は「先祖教」と呼んだほうがいいでしょう。