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こころの便り
読経(どきょう)のすすめ
先日、友人に誘われて久しぶりにスナックへ飲みに行きました。普段あまりお酒を飲まない私には1年ぶりの機会でした。店に入って気が付いたのですが、以前と何か違う雰囲気でした。静かなのです。つまりカラオケがなくなっていました。聞こえるのは落ち着いた感じのBGMです。

今までなら競い合って次から次へとマイクを廻して歌っていた、あの「騒音」がありません。友人によると、近頃はそのような店は少なくなったということでした。しかし、カラオケ好き人間が減ったわけではありません。駅前や繁華街にはいくつものカラオケの店ができています。

結局、「住み分け」が出来てきたのでしょう。会話を楽しみながらお酒を飲み、歌はみんなの前で歌って視線を集めて聞いてもらうのが良いのでしょう。

熱中して歌えば歌のその世界に入り、自分を主人公に置き換え、非日常的な感覚をかもし出し、そして自己陶酔へと入っていきます。頭の中にあるいろんな事を排除してしまいます。これは読経とよく似たところがあります。

読経は読誦(どくじゅ)とも言い、経典を読むことです。お腹から声を出して経典を一心に読みます。これを「唱える」といいます。本来は経典の意味内容を理解し、実践するために読んだのでありますが、今では読経すること自体が一つの修行法とされています。

仏様の前で一生懸命読経し、雑念を払い、精神集中します。私たち僧侶は長いお経を唱え、また短い経文ならそれを何百回、何千回と繰り返します。そうすることによってほとけの世界に入って行こうとします。つまり、自分は「ほとけそのもの」であるという境地に入る手立て、手段として行ないます。

別に難しいことではありません。一度やってみませんか?どんなお経でもいいです。最初はルビのついた、短いお経がいいでしょう。意味は分からなくても、いや分からないほうがかえって良いかも知れません。とにかく、唱えてみることです。時、場所は問いませんが静かなところがベターです。

心に迷いがある時、悲しい時、寂しい時、辛い時、怒っている時、また嬉しい時、楽しい時、いつでもいいです。一生懸命唱えていると自然と精神集中ができてきます。そして、唱え終わった時、迷い、悲しみ、寂しさ、辛さ、怒りはなくなり、有頂天の気持ちもなくなります。気持ちが落ち着き、今まで気が付かなかった自分を発見します。それもほとけ様の境地に近いものかも知れません。

読経の目的は仏の徳を称え、願い事を叶えようとし、また死者の冥福を祈るためだけのものと思われますが、それだけではありません。自身の気持ちを切り替える方法としても大変有効な手段になります。

歌と一緒で腹式呼吸で声を出しますから、健康にもいいです。このように読経の効用は一石二鳥が三鳥、四鳥にもなって自分に帰ってきます。さあ、一度チャレンジしてみましょう。

やり方がよく分からなければ私や私のスタッフが手ほどきしますから、気軽に問い合わせてください。